根管治療(歯内療法)
I様 72歳(2016年現在)/女性
48歳(2017年現在)/男性
歯根の先に黒く見える範囲が、病変(病巣)です。良性の腫瘍で、時間とともに拡大し結果的に周りの骨(歯槽骨)を融かします。(写真2及び写真4)
最初に原因歯の根管治療を行なう歯科医が正確な根管治療を行なえば、基本的に病変部に骨が再生し治癒します。レントゲン写真での黒の陰影が消失し骨の形成が認められます。(写真3及び写真5)
根管治療は、正しく行なえば一生に1度で済む筈です。
歯根治療は、殆ど2回の通院で終了します。歯根の治療が何回も繰り返されることは理論的には理解に苦しみます。
レントゲン写真で示した病変を放置すると、将来的に重篤な症状を引き起こす可能性が大であり、抜歯は必至です。
マイクロスコープの項で示しましたように根管治療が完璧に行なわれていれば、これが原因で抜歯になることは殆どありません。
ただ、完璧な根管治療を行なったとしても、時には病変が消失しないことが有ります。これは、先端付近の歯根の形と神経の解剖学的形態によることが殆どです。しかし完璧な根管充填が出来ていれば抜歯せず、病巣だけを簡単に除去する歯根端切除手術法があります。(詳しくはマイクロスコープのページを参照ください)
病変と根の先の形態的に問題のある部分だけを腫瘍の摘出と同時に切除します。不完全な根管充填でも、切除後に逆根充(根の先の封鎖目的)をマイクロスコープで確認しながら行なえば問題はありません。当院のみならず他院で行なわれた高価な被せ物(セラミック冠等)も撤去することなく病変だけを摘出し、出来るだけ歯を残すことに心掛けています。
歯根端切除手術を行なわなければ抜歯となり、後は義歯かブリッジかインプラントになります。当院では開業以来47年間に数千本の歯を抜かないで残してきました。
1本の歯は掛け替えのないものです。抜歯して、即、インプラント治療を勧めるのは、如何なものかと思います。一生自分の歯で噛めるようにするのが我々歯科医の最大の使命です。