インプラントの選択
当院のインプラントに対する考え方
中立な立場で最良の選択を
当院は、日本でも比較的早い時期からインプラント治療を導入してきました。
しかし、すべての患者さまに「インプラントを第一選択」として勧めることはしていません。
大切なのは、患者さまのお口の状態やご希望を総合的に判断し、最も適した治療法を選ぶことです。
インプラントは、「必要な場面で、必要な方法として選ぶ」ことこそが本来のあり方だと考えています。
かみ合わせが整えば、インプラントはもっと生きる
インプラント治療は、「かみ合わせ(咬合)」理論を正しく理解している歯科医師が行うことで、天然の歯に近い機能を再現することが可能です。
下あごの動きは、複数の咀嚼筋(食べるときに働く筋肉)の複雑な働きによってコントロールされており、その基準となるのは、上下の歯が軽くかみ合った位置(中心咬合位)です。
この位置での接触は非常に繊細で、わずか数ミクロンから数十ミクロンの誤差があるだけで、違和感や不具合につながることがあります。実際の診療では、薄いプラスチックフィルムや金属箔を使い、上下の歯が軽くかみ合ったときに抜けない程度の接触が理想とされています。
食事中、下あごはこの基準位置から上下だけでなく、前方・左右へと三次元的に動きます。
天然歯は垂直方向の力には強いものの、横方向の力には弱い性質があります。そのため、側方運動時には歯どうしがぶつかるのではなく、滑らかにすべるように咬合を調整することが大切です。
インプラントは天然歯のような歯根膜が存在せず、力を吸収するクッション機能がないため、かみ合わせには特に細心の注意が必要です。もし、正しいかみ合わせの調整がされていなければ、インプラント部や噛み合う相手の歯、周囲組織や顎関節にまで過度な負担がかかり、不快症状が現れる可能性があります。
したがって、インプラント治療では「かみ合わせのの精密な調整」が欠かせません。正しく調整されたインプラントは、天然歯に近い快適さを取り戻し、定期的なメンテナンスとともに長期的に安定した機能を果たすことができます。
※ このホームページの「診断と治療」の中の「顎関節症について」を参照下さい。
顎関節と重力の関係
多くの方は「顎の関節も膝や腰と同じように、体の重さ(重力)を直接を受けている」と考えがちです。しかし顎関節は非常に薄い骨でできており、重力を直接支える構造にはなっていません。
重力を支えているのは、上下の歯のかみ合わせです。
顎関節そのものは重力を受けず、ちょうど和バサミの関節部分とよく似ています。
和バサミの支点部分には大きな荷重はかからず、力は刃の接点で受け止めます。顎も同じように、重力は歯で受け止め、関節にはかからない仕組みになっているのです。
顎関節 和バサミと類似
顎関節
関節に重力はかからない
関節に重力はかからない 和ハサミ
関節に重力がかかる 裁断機 顎関節の一般的イメージ

