保証について
川原歯科医院が考える治療の保証
広辞苑によりますと、保証とは、大丈夫だ、確かだと請合うこと、とあります。 パソコンやカメラなどを買うと、殆ど保証書が付いてきます。
大概は1年保証で、 使い始めて1年以内に故障するようなことがあればメーカーが責任を持って修理しますが、 責任を負うのはそこまでですよ、と明示しています。 ユーザーも、保証内容を当然のように納得しています。
保証書の有無や長短は、それを購入するか否かを迷った時の後押しになることは確かです。 企業の戦略としては当然かと思いますが、それは、企業の倫理観で我々歯科医には違和感があります。
我々歯科医の大部分は、「自分の作った義歯やインプラント等を、 出来ることなら一生もたせたい」と、思って診療をしています。 それがドクターと呼ばれる者の倫理観です。
歯科の捕綴物(義歯やインプラント等)の中には、5年保証、10年保証、 さらには20年保証を設けているものがあります。 保証があるから安心できる、とお思いですか。 裏を返せば、5年以降10年以降20年以降は、 責任を持ちかねますと宣言しているようなものではありませんか。 住宅にも100年保証がありますが、それを保証する人を誰が保証するのでしょうか。
インプラント経験が浅いのに、10年、20年を保証するのは、 沿岸しか帆走したことのないヨットマンが、 このヨットでなら太平洋横断も大丈夫ですよと言っている様なもので、 ヨットだけが立派でも成功するとは限りません。
保険診療では、クラウンやブリッジの保証を2年間と国が決めています。その間の再製作は、無料です。
保険の治療は、せめて2年は、もたせてくださいよと国が言っています。 しかし、前述の通り2年だけもてば良いと思って診療している歯科医はいないと思います。
インプラントに限って言いますと、当院のインプラント歴は25年ですが、 これまで再治療をしなければいけなかったケースは、全インプラント数の2~3%です。 ちなみにインプラントの生存率(長期成功率)100%は、 世界中探してもありません。外科手術と同じです。
特別のことがない限り、当院の責任として殆どが無償で、 ケースによっては実費(貴金属代等)で再治療をしてきました。 それはインプラント以外の治療も同じです。 しかし、自費診療の説明の際に、保証の話は一度もしたことはありません。 これは、当院40年のポリシーです。 歯科医師としてのプライドがあれば、永久とは言いませんが保証は当然で、 強調する必要はありません。 患者さんとの信頼関係のある歯科医院では、皆同じと思います。