当院のインプラントについて
インプラント治療をお考えの皆さまへ
歯を失ったとき、どのような治療方法を選ぶかは、とても大切な決断です。
その選択肢の一つにインプラント治療がありますが、近年はインターネット上に多くの情報があふれ、患者様にとって判断に迷われる方も少なくありません。
このような情報過多の中で、主治医からインプラント治療を勧められ、迷われている方も多いのではないかと思います。
私は、日本歯科医学会に所属する「日本口腔インプラント学会認定専門医」として学術的に有益な情報をお伝えする必要があると感じ、このページをまとめました。
この内容が皆さまの理解を深め、主治医との信頼関係を築く一助となり、納得のいくインプラント治療につながれば幸いです。
どうか最後までお読みいただき、安心して最善の選択をしていただければと思います。
世界のインプラント事情 ~世界と日本の現状を知る~
現在、世界には100社を超えるインプラントメーカーが存在し、日本国内だけでも20社以上の製品が流通しています。
それぞれのメーカーには、歴史や実績、臨床研究の蓄積、使用される素材や設計の違いなど、さまざまな特徴があります。
その中でも、世界的に高い評価を受け、広く使用されている「世界3大インプラントメーカー」として、Envista(ノーベルバイオケア)、Strauman(ストローマン)、Dentsplay Sirona(アストラテック)が挙げられます。
これらのメーカーは、長年にわたる臨床研究と世界中での豊富な使用実績によって、その信頼性と安全性が証明されており、大学病院や専門医療機関でも多く採用されています。
インプラントの起源
~骨と結合するという発見から、世界の治療法へ~
現代のインプラント治療は、1952年にスウェーデンのルンド大学整形外科医、ペル・イングヴァール・ブローネマルク教授によって発見された現象から始まりました。
ウサギの骨を使った実験中、純チタンが骨組織と拒否反応を起こさず骨結合(オッセオインテグレーション)するという、まさにノーベル賞級の発見が偶然生まれたのです。
その後、教授はイエテボリ大学に移籍し、研究を重ねて人工歯根としてのチタン製インプラントを開発しました。骨結合が得られれば、天然の歯に近い機能を持ち、長期間安定して使用できる治療法として、世界中で高く評価されるようになりました。
臨床応用が始まったのは1983年。
ここから、現在のチタン製インプラント治療の歴史が本格的に幕を開け、改良と進化を重ねながら、安全性と信頼性の高い治療法として世界中に広く普及しています。
当院におけるインプラント導入の経緯
~"流行"ではなく、"確信"からのスタート~
当院が開院して14年目の頃、インプラント治療について本格的に学び始めました。
当時はいくつかの研修会にも参加しましたが、世界的にもインプラント治療の歴史はまだ浅く、信頼性に確信が持てなかったため、すぐに導入することはありませんでした。
その後、約10年間にわたり世界のインプラント事情や臨床結果を見続けた結果、チタンインプラントこそが天然歯を再現できる最良の治療法という確信を持つに至りました。
そして1993年、当院でインプラント治療を導入し、現在に至っています。
当院のインプラント治療歴は、すでに32年を数えます。長年の経験と蓄積した知識を活かしながら、患者さま一人ひとりに合った安全で確かな治療を心掛けています。
当院のインプラントについて
当院で使用しているのは、ノーベルバイオケア社製のインプラントです。
このメーカーは世界で最初にインプラントを考案した企業としても知られています。
45年以上の歴史を持ち、世界中で高く評価されています。
ノーベルバイオケア社とその背景
ノーベルバイオケア社は1981年にスウェーデンで設立され、現在はスイスに本社を構える世界的なインプラントメーカーです。社名はノーベル賞で知られるアルフレッド・ノーベル氏が設立した企業に由来しています。
このインプラントの販売元は米国カリフォルニアに本拠地を置くエンビスタホールディングス社(Envista Holdings)です。
エンビスタ社は、一般歯科医院や口腔外科、矯正歯科といった専門医に至るまで、世界中の歯科医療機関に向けて幅広い機器や材料を製造・販売しています。
現在では、世界150か国以上、100万人を超える歯科医師に製品を提供しており、日本法人「ノーベルバイオケアジャパン」もそのグループに属しています。
海外からの視察も
2025年3月18日、当院にヱンビスタホールディングス社CEOのポール・キール氏と、ノーベルバイオケアジャパン社長の坂野弘太郎氏が来訪されました。
日本におけるノーベルバイオケアインプラントの使用状況や臨床実績に加え、CT診断やデジタル矯正治療への取り組みなど、多岐にわたるテーマについて意見を求められました。
世界的トップ企業のCEOが現場の声に真摯に耳を傾ける姿勢は非常に印象的であり、改めて信頼できるメーカーであることを実感しました。
歯科医療の世界的リーダーから直接評価をいただけたことは、当院にとっても大変貴重であり光栄な経験でした。


